ニコライブルクの物語
大侍従 事の重大さに理解を示さず
実は、この大侍従、前立腺に癌が見つかったのだ。
今日は、骨の転移があるかの検査で病院に連れて行かなければならず、なかなか暇にはならないものである。
だが、その当の本人はなんら動ずることなく、
「あとは、野となれ山となれ」
の状態である。
そうなのだ。
既に年金生活者の彼は気分はすっかり世捨て人である。
良く言えば潔し、悪く言えば投げやりなのである。
彼曰く、
「人間と言うのは命に対して執着がありすぎる。
平時の世の中ではどのような形にしろ死を迎えるは天命が終わったと言うことなのだ。
それに抗うは人間の傲慢だ。
その点、動物は潔い。命の危険は常に感じつつも明日自分が死ぬと思っていない。
だから奴等は気高く生きていけるのだ。」
と、言うのだが、
「おどっつぁんよう。
知った風なことを言ってるが癌で闘病されているご家族の苦労は大変だと聞く。
それにな、癌て放っておいて末期になると激痛が走るぞ。」
と、言うと
「あぁ?痛いのか?痛いのは嫌だぞ。病院行って治してもらべ。」
全く、偉そうなことを言う割には歳を取ったせいかヒヨヒヨでなのである(^^;。
ニコ :なにはともあれ、首に縄をつけてでも病院に連れて行くがよい。

侍従 :御意。
(やれやれ、一難去ってまた一難)
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