ニコライ 春の園芸実施を勅旨する
このときばかりは侍従も給仕係も農奴と化す季節なのである。
そのような中、ニコライ皇帝より宮廷庭園の造園状況の報告を求められた侍従である。
ニコ :侍従、そろそろ宮廷庭園を造成するのじゃ。

侍従 :ははっ!
ニコ :して、宮殿入口横の朕の予備庭園は如何するつもりか。

侍従 :ははっ。
既に開花しているムスカリにおいていまさら言うまでもなく、
早速給仕係に下達し、あの者に土壌追加および今年は各ユリ類
を植え付けたよし、すべて開花した暁には陛下におかれましても
必ずやご満足して頂けますれば万事安泰にございます。
お恐れながらこの場所は陛下の御威光を戴きましてニコライ予備
庭園と命名させて頂きましてございます。

ニコ :うむ。
執着じゃ。
ところで宮殿入口の間(玄関フード内)については如何しておるのか。

侍従 :はっ。
陛下の新領土に保全しておりました鉢植えを宮殿入口の間に移動し
ニコライ温室植物館と命名させて頂きとうございます。

ニコ :良きに計らうがよい。
とこで侍従、あの境界ラインは如何するのじゃ?

侍従 :はは、以下のマリーゴールドを31株用意しておりますれば、これ
を植樹しまして陛下のご意向を内外に知らしめとうございます。
本件につきましては植樹後別途ご報告させて頂きますれば今暫く
お待ち下さいますよう。

ニコ :よきかな、よきかな。
時に侍従、前回植え付けたジャガイモは如何しておる?

侍従 :お恐れながら、未だ芽を出すこと能ざればこれも今暫くお待ち頂き
とうございます。
これより暖かい日々が続きましょうから来週あたり芽を出す予定に
ございます。
ニコ :仕方がないのう。
もうよい。退がれ。朕は眠い。これより晩餐まで朕は誰にも会わぬ。

侍従 :御意。
春のニコライブルクはチューリップも水仙も桜も梅も何やらかにやらいっせいに花が咲く。
四季の中で一番栄えある季節なのである。
侍従は凍てつき猛吹雪の続く冬の次に好きな季節が春なのだ。
(畑仕事さえなければ)
日々農奴に徹する侍従にポチっとされたし
