ニコライブルクの物語
撫子 侍従の尻拭いをする
やらなきゃならない仕事は溜まっているのだが、どうも手がつかない。
嗚呼。
撫子 :撫子です。

撫子 :何やら侍従さんは、友達の葬儀から帰ってきてから元気がありません。

撫子 :このままじゃニッチもサッチさっちもいかないので私からおっしょさんに言って
侍従さんから取り立てをしてもらおうと思っています。

撫子 :と、言う訳で今日はここまでです。

撫子 :皆さんの庶民派ニャンドル、撫子でした。


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そんな訳でとうとう奴ぁ骨になっちまいやがった。
↓
一昨日、亡くなった友人の葬儀に行ってきた。
大人数を呼ばず、親しい友人と親族達だけの家族葬だった。
(総勢20人くらいかな)
彼の奥さんと彼の父、および彼の御親族達の御好意で一晩、亡くなった彼を含め子供の頃から3人で一緒に遊んでいたもうひとりの友人と線香番を任せてもらえた。
通夜とその後の会食も終わり、葬儀場で亡くなった彼と一緒に参列した友人と自分の3人だけになった。
当然やることは、ただひとつ。
酒盛りである(笑)。
酒盛りと言ってもそこはもう50歳射程の大人であるから騒いだりはしない。
一晩充分たっぷりと時間はある。
予人を交えず飲みまくって大いに3人で語り明かした。
(と言っても、話すことができるのは生きている我々2人だけだが^^;)
飲みながら線香を換え、彼が生きていた時の思い出や棺に入っている今にも目を覚ましそうな彼の顔を見ながら彼に悪態をついたり、笑ったり、いろんな話をした。
一緒に葬儀に出席した友人とは、葬儀に出る前に泣いたりせず歯を食いしばってでも笑顔で彼を送ってあげようと約束した。
告別式が始まる早朝。
まだ誰も来ていない中、線香を立てに行った時、祭壇前に設置している焼香台が焼香の箱と線香と蝋燭だけではちょっと寂しかったので亡くなった彼が大好きだったキンキンに冷やしたエビスビールの500ml缶をコンビニから買ってきて数本並べてみた。
焼香台は一気に洗練されてカッコよくなった。
(俺ってセンスいいかも^^)
葬儀場の職員の方に
「これダメ?」
って、聞いてみたら
「祭壇ではないのでよろしいのではないでしょうか」
と言う返事を貰った。
そうこうしているうちに、朝一番乗りで亡くなった彼の父がきた。
(彼の母は脚が悪いのと病気で衰弱が激しく内地には来られなかったのだが)
「先生、これまずいかなぁ(笑)〇〇ってエビス好きだったから」
(彼の父は我々が高校生だった時、高校の先生だった)
快く承諾してくれた。
告別式が始まり、焼香の場になった時、焼香台に立っているエビスを見て皆泣き笑いながら焼香してくれた。
よし、掴みはばっちりだ!!
よかった。
泣いててもちょっとだけ皆笑ってくれた顔を見て亡くなった彼も少しは安心できたのであればいいのだが。
「この期に及んでそこまでして人を笑いのネタにすんのか、てめぇら!!」
と、言って怒っていたかもしれない。
出棺のとき、棺に皆で花を入れたり思い出の物を入れたりしたが、我々2人は花びらではなく紙コップにエビスビールを移し入れた。
三途の川を渡る時に飲んで欲しかったのだ。
今では時代も進歩して三途の川も船ではなく、飛行機に乗って渡るらしい。
(ウソ^▽^)
火葬場に行くために彼を霊柩車に乗せる直前、彼の奥さんと彼の父から是非骨を拾ってあげて欲しいと言われた。
涙が出るほどありがたかったが、一応親族ではない者が流石にそればかりはと言って友人と固持したが、彼の奥さんの
「私より付き合いが長いから是非、その方も彼が喜ぶ」
と、言われて一緒に火葬場まで行かせてもらった。
考えてみると彼の奥さんは彼と一緒になって4年半の歳月しか経っていない。
その間に3歳に満たない娘を残して逝ってしまったことを考えるとやむにやまれぬ気持ちになる。
焼き上げが完了し、骨になった彼を見た。
あれだけガタイがでかかった彼も骨になってしまうとこれだけになってしまうのか。
子供の頃やまだ若かった時、一緒に遊んでて
「安心しろ、骨は拾ってやる(笑)」
と言ってたことがこんな形で現実になろうとは思ってもみなかった。
骨壷に収まった彼と一緒にまた葬儀場に戻り彼の父、彼の奥さん、ご親族に挨拶をして、骨壷の横にある彼の遺影に
「俺は先に帰ってるからな」
と、挨拶をして最終便で一路岐路についた。
彼は4日後、彼の父と、このニコライブルクの地に帰ってくる。
変わり果てた息子の姿に彼の母の気持ちを考えると気が重くなる。
彼の奥さんは数年後、娘を連れて彼の両親と暮らす覚悟を決めてこの地に移ると言う。
彼の父は、まだ若いし焦らずゆっくり考えて自分と娘の将来を決めるように諭していた。
(本心は一人息子が残した孫娘と一緒にいたいだろうに)
実際のところ、こんな冬には凍てつき、視界がほとんどないほど猛吹雪になる場所に温室育ちのお嬢さんが暮らしていけるとは思えない。
第一、こんな植民地には彼女の優秀な頭脳と技能を生かし、それを必要とする仕事が皆無である。
(この地は、産業レベルが低すぎるのである)
そんなやりとりを思い出し、羽田空港に向かう帰りの電車の中で
「〇〇よ、〇〇ちゃんの将来はしっかり〇〇さんが考えて立派に育てていくよ、さっさと勝手に先に逝っちまった奴は心配しないで黙ってあの世から見守ってろ」
と、ひとり毒づいた侍従なのであった。
気持ちの切り替えは難しいかもしれませんが、撫子ちゃんも心配してますよー!!ご友人の分まで侍従長さんは長生きせんと!!
残された者は生きて行かねばなりませんからね。
彼女は大丈夫です。
しっかりしていますから。
なに?
素晴らしい親友?
違います、若かりし幼き頃、悪逆の限りを尽くした悪友でございます。
こて家様
いつまでもウジウジしていると奴も成仏できないでしょうから。
まぁ、私は黙っていても長生きします。
(本人が望まなくとも)
鍵コメ2様
本人、相当悔いが残ったと思います。
でもね、こればかりはしようがないんですよ。
彼等が困った時には手を差し伸べなければなりますまい。
でも大丈夫だと私は思っています。
大丈夫、大丈夫。